え~、ご存知かと思いますが現在ジャンプSQ.で連載中の『ワールドトリガー』アニメ第2期が1月より放送中です。
2014年から2016年にかけて約1年半放送された第1期から約4年ぶりの放送かつ、前回の早朝から深夜帯への放送時間の変更などがすでにファンの間で話題となってます。
原作は2013年に週刊少年ジャンプで連載がスタート。その後、葦原大介先生の深刻な体調不良により2016年から2018年まで休載。少年ジャンプでの復活連載を経て、現在はジャンプSQ.で絶賛連載中です。
なので、連載スタートで言えば『僕のヒーローアカデミア』や『ブラッククローバー』よりも先輩作品にあたります。
今回の少年ジャンプ番外編では、アニメ第2期が放送中ということで『ワールドトリガー』の面白さについて、ポイントを絞りつつ改めて宣伝したいと思います。
※若干のネタバレがあるかもしれません。
【ワールドトリガーのここが凄い①】
オサムとユーマの完璧なダブル主人公スタイルを実現
ワールドトリガーのストーリーは、三雲修と空閑遊真の主に2人キャラクターを中心に描かれていますが、葦原先生が単行本の質問コーナーで答えている通り「どちらでもOKです」といえるほど、オサムとユーマのどちらも主人公と呼べるように作られています。
むしろ主人公が2人に分割されたことで、異なるタイプの主人公の姿を描くことができています。
例えばメガネをかけた方の主人公、三雲修(ミクモ オサム)は“ヒーローではない凡人”であり「特別な才能がないことを悩みつつ、自分にできることを全力を尽くす」という読者が感情移入しやすいキャラクターになっています。
一方、白髪チビの主人公、空閑遊真(クガ ユーマ)は“常識離れしたヒーロー”ような存在で「ちょっと非常識ながら、仲間のために力を発揮する」というオーソドックスな主人公のスタイルに近いです。
オサムを通して悩む・焦る・戸惑うといった主人公の弱い部分を描く一方、前向き・戦闘力・男気などの主人公の強い部分は主にユーマを使って表現することで、読者は物語の主人公の強さ・弱さの両面を味わうことができます。
こう書くと“オサムって主人公らしくない”と考えてしまうかもしれませんが、オサムは上記のような弱さを見せつつ、必死に考えて、努力し、奮闘する姿も描かれているので、ヒーローらしく獅子奮迅の活躍を見せるユーマに決して劣らない魅力を備えているのです。
ここまで完璧といえるほど主人公の役割を分担できているマンガはかなり限られています。
【ワールドトリガーのここが凄い②】
“戦闘”と“試合”の二つのバトルを描く
ワールドトリガーは「異世界からの侵略者“ネイバー”から町を守る“ボーダー”たちの戦い」を描いているので、いくつものバトルがあります。
そのバトルですが、ワールドトリガーの世界では「ネイバーと直接戦う”戦闘”」としてのバトルと、「訓練の一環としてボーダー内チーム同士の”試合”」としてバトルという、これまた2種類のバトルが登場してます。
”戦闘”の場面では、ネイバーに対するオサムやユーマたち、キャラクターたち個人として実力が見れて楽しめる一方 、”試合”の場面では、実力に加えてチームとして戦術の良し悪しがわかり、言ってみればスポーツ的な要素が出てくるのです。
どちらかというと”ハラハラ”するシーンが多い“戦闘”とは別に、スポーツマンガのように”ドキドキ、ワクワク”する”試合”が加わったことで、バトルマンガとしての面白さは倍増したとも言えます。
“試合”の場面が出てきたのは単行本でいえば10巻、連載だいたい2年目前後からですが、これによって主人公たちの実力の成長に加えて、戦術による勝敗の差や、後述する多くのキャラクターたちの交流を描くことができ、作品としてもボリュームが大幅に増えました。
【ワールドトリガーのここが凄い③】
膨大かつ細かいキャラクター数と各種設定
ワールドトリガーのキャラクター数ですが、2016年に発売されたファンブックに掲載されたデータグラフに登場する数だけで83人、その後登場したキャラクターや今後登場が見込まれるキャラクターを合わせると推定130人を超えます。
人数だけなら同等のマンガもありますが、ワールドトリガーの登場人物の場合、年齢・誕生日・身長・血液型・星座・好きなもの・家族構成・使用する装備の設定まで決められているほど細かいです。
この膨大なキャラクターたちが一回きりではなく、後に要所要所で登場して活躍する姿も作品の大きな見どころです。
例えば、物語の序盤に登場し、敵であるネイバーとの戦闘シーンであっという間に撤退してしまったキャラクターたちが、後の主人公たちとの試合や別の戦闘において、大いに活躍して実力を示す場面が数多く出てきます。
ある程度長期連載のマンガ、それこそ『ONE PIECE』などはこうした、かつてのキャラクターたちが再び物語に登場して盛り上げるシーンが多く出てきますが、ワールドトリガーは連載2~3年目の時点をこの展開を実現しています。
これは、それこそキャラクターたちの設定や役割がしっかり練れていないとできない芸当なので、ある意味葦原先生の強力なこだわりが感じられます。
以上、とりあえず3つほど『ワールドトリガー』の面白さを上げてみましたが、細かいことを言えば「エログロがほとんどない健全性」や「詳細設定を生みながら矛盾がない」「コントラストがハッキリした見やすい作画」などまだまだありますが、それ程ワールドトリガーは高いポテンシャルを秘めている、というかすでに発揮している名作なのです。
だからこそ、自分を含めたファンは葦原先生の2年間の休載の間も待ち続け、現在のアニメ第2期も待望しました。
改めて深夜アニメとなり、2期と3期に渡って放送されるワールドトリガーとその原作にも注目してください。