昨年このような記事を見つけた。
“ミッキーマウスを有するディズニーがいまや世界最大のメディア企業となっているのに対して、日本のアニメは映画の興行収入などで20分の1の範囲でビジネスをしている”
正直、記事の目的が本の宣伝ということもあり、かなり乱暴な対比になっている。
内容としては、ウォルトディズニー社が如何に世界的なグローバル企業になったか、ドラえもんと比較しながらディズニーの強みを上げて記事にしている。
しかし、そもそも「ドラえもんと藤子スタジオ」、「ミッキーマウスとウォルトディズニー」では著作権などの権利関係が違う。
また、1940年代頃には、全米でほぼ唯一長編アニメーション制作を担える規模を整えたウォルトディズニー社と日本のアニメーション会社とではスタートが始まりが全然異なる。
上記の2点含め、色々指摘したい部分は多いが、一番引っかかったのは、ミッキーマウスに対してドラえもんが日本を代表するキャラクターするとして扱われている部分だ。
国民的なキャラクターであることは間違いないし、圧倒的な知名度も誇ることは確かだ。しかし、残念ながらドラえもんは世界的な知名度は一切ないに等しい。
日本人に対して“アメリカを代表するキャラクターは「シンプソンズ」だ”と言うぐらい、海外の人にとってドラえもんは“なにそれ?”的な存在である。
同じ猫型でも、まだ「ハローキティ」のほうが海外にもグッズなどで販売され認知されていると思う。しかし、それでもミッキーにははるかに劣ると言わざるを得ない。
だが、日本にも“ミッキーマウスに勝てなくない”キャラクターは確かに存在する。
そもそもアニメではない。
答えは「スーパーマリオ」。
そう、ゲームキャラクターである。
“好きなキャラクター”や“知っているキャラクター”であれば、やはり世界的な知名度ではミッキーがトップクラスであるだろう。
だがこれに“ゲーム”というジャンルが加わるとマリオはミッキーを圧倒する。
2011年にギネスが発表したオンライン投票によるゲームキャラクターのランキングでは堂々の1位を獲得している。
国内外問わずマリオの名前は広く知れ渡っているのである。
さらに、このランキングのトップ10のうち7つは日本メーカーのキャラクターである。
つまりゲームキャラクターこそ、日本を代表するキャラクターたちなのである。
リオオリンピックで閉会式で安倍首相が“土管を通ったマリオに扮して登場”したことが、それを如実に表しているといえる。
もしあの演出が逆で、“どこでもドアでドラえもんに扮して登場”だったならば、世界レベルでスベる結果になったであろう。(ドラえもんの検索数は増えたであろうが……)
ここ最近、ハリウッドで日本のゲームキャラクターの映画化が相次いでいる。
ハリウッド版マリオ、2022年公開へ 制作会社「第1作がコケたからこそやりがいある」(KAI-YOU.net) - Yahoo!ニュース
ハリウッド実写版『ソニック』、邦題が『ソニック・ザ・ムービー』に ポスタービジュアルも公開(リアルサウンド) - Yahoo!ニュース
映画『名探偵ピカチュウ』5月3日(金)より日本先行公開。世界で一番早く実写ピカチュウに会える!(ファミ通.com) - Yahoo!ニュース
上記の3つはいずれも非ディズニーの映画会社によるだが、おそらくディズニーに対する挑戦の目的があると個人的に考えている。
「トイストーリー」のディズニー/ピクサー、「アベンジャーズ」のマーベル・スタジオ、さらに「スター・ウォーズ」のルーカスフィルム。
なんとこれら全てウォルトディズニーの傘下なのである。
ミッキーに加えて、ディズニーはこうした超有名コンテンツを保有するほど圧倒的な存在になった。
こうした強力なコンテンツを対抗しようと選ばれたのが日本のゲームキャラクターたちなのである。ヒットするかはもちろん未知数だが、バイオハザードが少なからずヒットしたように、可能性は十分にある。
近年のハリウッド化には漫画原作も多いが、ドラえもんは選ばれていないように、ドラえもんはあくまでローカルキャラクター、言ってみれば“ゆるキャラ”に過ぎないのである。