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第1回でアニメ界にミリタリーアニメの可能性を認知させた『ストライクウィッチーズ』を取り上げ、第2回はその後の成功例とはならなかった“美少女×ガンアクション”について書きました。
そして今回は、いよいよ現時点でミリタリーアニメの最高傑作となっている『ガールズ&パンツァー』についてお話します。
"美少女戦士×ガンアクション"のアニメがこれといって成功しない一方、WW2ミリタリーアニメの先例となった『ストライクウィッチーズ』は熱心なファンに支えられてアニメ第2期から劇場版へと続いていき、関連本も多数発刊されました。
同時にストライクウィッチーズから影響を受けたと思われるミリタリー系作品がいくつか散見されましたが、いずれもあまり話題にならないままでした。
そんな中2012年後半、とあるビジュアルとともに新たなミリタリーアニメの放送が発表されました。
▲こちらがたまたま見つかった、その当時のビジュアルをトリミングしたものです。
自分が初めてこのメインビジュアルが載ったホームページを見た時の印象は「また軍事マニアしか見ないアニメが始まるな……」という感じでした。
というのもストライクウィッチーズは例外として、ミリタリーアニメは「アニメオタクの中の軍事マニア」という限られたターゲットにしか受け入れられないジャンルというのが、自分を含む多くのアニメファンやクリエイターの認識だったからです。
「空母を背景に、戦車の上でハシャでいる女子高生のアニメなんて自分みたいな軍事マニアしか興味ないよ」
個人的にそう思ってましたが、ご存知の通りガルパンはそんな第一印象をぶち抜いて大ヒットに至ります。
なぜ大ヒットしたか、その理由を説明するとそれだけで記事が3本ぐらいになりそうなので、自分が考える最も重要なポイントを1つだけ指摘したいと思います。
それは「ストーリーの基本が"スポ根"」だったことです。
ガルパンは現在制作中の最終章以前は「廃校危機の母校を全国大会で優勝して救う」という非常にオーソドックスな王道ストーリーを基本にしてます。
このわかりやすさが、ミリタリーアニメの欠点である“煩雑な設定”を不要にして、軍事マニア以外の一般アニメファンにも受け入れられる大きな要因となりました。
例えばストライクウィッチーズの場合、まず敵である“ネウロイ”から、主人公たちが扱う“ストライカーユニット”、所属する“統合戦闘航空団”、国名、戦争の経緯など、楽しく見るには覚える設定がけっこう多いのです。
その点、ガルパンは主人公たちの顔と戦車の姿、簡単なルールさえ覚えれば、後はスポーツ観戦と同様にすぐに楽しめる手軽さがあります。
ミリタリーという一般的には理解しにくい要素をスポ根というシンプルな王道ストーリーに組み込んだことで、ガルパンは一般アニメファンにもわかりやすい作品となりました。
その上で「クオリティ・こだわり・プロモーション」の3つのポイントが満たされ、迫力ある戦車戦という「真新しさ」が加わった結果、単なるミリタリーアニメの枠を超えた大ヒット作品へと『ガールズ&パンツァー』は変貌しました。
そして、次回取り上げる海軍系ミリタリー作品とともにWW2ミリタリーの躍進に大きく貢献することになります。
続く……。
【ミリタリーアニメが成功できる条件とは】
⑥ミリタリーアニメが「ストライクウィッチーズ」で始まり「ガルパン」で終わるかはこれから次第