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【今週の少年ジャンプ番外編】劇場版ワンピースが次回作あたりで最高傑作となりそうな理由①
『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』はもちろんのこと、『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ワールド ヒーローズ ミッション』や『ブラッククローバー』劇場版、『劇場版 呪術廻戦 0』など劇場版アニメの話題が止まらないジャンプですが、今回は今更ながら『ONE PIECE』劇場版シリーズについて持論を述べたいと思います。
まずは概略から。
劇場版ワンピースですが、2000年の第1作から2019年の第14作『ONE PIECE STAMPEDE』まででシリーズ累計約380.7億円の興行収入を記録している劇場版ジャンプアニメシリーズの代表的存在です。
え?『鬼滅の刃』?
次元が異なるのでスルーしてくださいwww。
まだ1作なので劇場版シリーズとも言えないので。
そんな劇場版ワンピースは、2000年から2009年まではドラえもんやクレヨンしんちゃん、ポケモン、コナンのように毎年新作が公開されていました。
しかし、興行収入では2作目の『ONE PIECE ねじまき島の冒険』で約30億円を記録してからは下降気味で、2006年~2008年作品は約9億円とかなり苦戦を強いられていました。
自分もいくつかの作品を見たことがありますが、当時の劇場版ワンピースには劇場版作品では当たり前の「オリジナルストーリー」というハンデに加えてもう一つ大きな決定がありました。
それは「終盤の展開が毎回変わらない」ということです。
「適役のキャラクター(3人)に対してルフィ・ゾロ・サンジが個別に戦う」
当時の劇場版ワンピースは中盤までは色々あっても終盤はほぼこのパターンでした。
毎回オチがほぼ同じと多くファンがわかったのか、次第に映画に行く人も減り、それは前述した興行収入から見てもあきらかです。
そんな中、それまで劇場版に関わってこなかった尾田栄一郎先生が製作総指揮として参加した2009年公開の第10作『ONE PIECE FILM STRONG WORLD』は過去最高となる48億円を記録し、当時の歴代劇場版ジャンプアニメ最高の興行収入を記録しました。
ストロングワールド以降は毎年の新作公開を止める一方、尾田先生が制作に関わる形式が事実上確立して興行収入も『ONE PIECE FILM Z』(2012)68.7億円、『ONE PIECE FILM GOLD』(2016)51.8億円、『ONE PIECE STAMPEDE』(2019)55.5億と大幅に上昇しました。
尾田先生による監修が始まった結果、ストロングワールド以降の劇場版ワンピースは映画オリジナルながら、原作の物語やキャラクターとの関わりが大きく感じられるように変化しました。
それまでは原作やテレビアニメに対して当たり障りのないレベルで制作している印象があったので、これは原作ファンも興味を持つという意味で大きな効果がありました。
それと同時に毎年公開を止めたのも1作品あたりのファンの期待値を高めることに貢献しました。
「新世界編」初の劇場版となるフィルムZは、更なる話題を呼び、歴代最高の興行収入を記録。
しかし、実はその後のゴールドとスタンピードにこそ、劇場版ワンピースの更なる躍進が期待できる要素が含まれているのです。
続く……。