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【今週の少年ジャンプ番外編】劇場版ワンピースが次回作あたりで最高傑作となりそうな理由①
前回は、劇場版『ONE PIECE』の概略と尾田栄一郎先生の参画による興行収入の上昇についてざっくりとご紹介しました。
今回は直近2作の『ONE PIECE FILM GOLD』(2016)と『ONE PIECE STAMPEDE』(2019)でおきた劇場版ワンピースの変化についてご説明します。
※以下、一部作品のネタバレを含みます。
『ONE PIECE FILM STRONG WORLD』(2009)に続く、尾田栄一郎製作総指揮第2弾となる『ONE PIECE FILM Z』(2012)でシリーズ歴代最高の68.7億円を記録した劇場版ワンピースですが、ストロングワールドとフィルムZのどちらもストーリーにおいてはまだ過去の作品の欠点を残したままでした。
すなわち、映画終盤の「適役のキャラクター(3人)に対してルフィ・ゾロ・サンジが個別に戦う」というスタイルは踏襲されたままでした。
ストロングワールドでいえば「金獅子のシキvsルフィ」・「Dr.インディゴvsゾロ」・「スカーレット隊長vsサンジ」がそのまま当てはまり、フィルムZでは「ゼットvsルフィ」・「アインvsゾロ」・「ビンズvsサンジ」という形になります。
(※ただし、ゼットvsルフィのときはルフィが完全に打ち倒すのではなく、ゼットが実質的に敗北を認めて、その後ゼットは海軍本部を相手にして倒れるという最後)
麦わら海賊団のメンバーはだいぶ増えた一方、戦闘力の差からか劇場版終盤での出番はやはりこの3人が主体のままでした。
映画全体では原作の物語やキャラクターとの関わりができて、それまでの劇場作品と比べてスケールが大きくなったのであまりは気になりませんが、後々振り返るとそういえばそうだな~と思う点ではありました。
そんな中、製作総指揮第3弾となるフィルムゴールドではだいぶ大きな変化が見られました。
ストーリーにおいては、まず映画の序盤でゾロが敵に捕まり人質になるというこれまでにない展開が起きました。
麦わら海賊団の実質的ナンバー2であるゾロがまさかの“捕らわれの姫”役になったのはかなりの驚きでした。ストロングワールドのように、それまではヒロインであるナミがその役割を担うことが多かったですが、実力者であるゾロがそんな目に合うのは多くの人が意外と感じたはずです。
そんな捕らわれた姫であるゾロをなんだかんだで救出した後の終盤のバトルもこれまでとは一味違うスタイルでした。
ボスであるテゾーロの部下3人、タナカさん・バカラ・ダイスに対して、麦わら海賊団はサンジ・ロビン、ウソップ・チョッパー・ブルック、ゾロと、ゾロ以外はタッグで戦うという形を取ります。
それまでボス+部下2人というパターンが多かったなで、まず部下が増えてます。さらにタイマンではなく複数人で相手するのもほとんど初(?)の出来事でした。
とくにバカラ戦はルフィ、ゾロ、サンジのいずれもおらず、ウソップがフィニッシュを決めるなど、これまた劇場版シリーズ初の展開でした。
ラストはいつも通りルフィによるタイマンで決着がつきましたが、映画の所々で原作キャラクターが顔を出すなど、一般的にはあまり意識されていないものの、実はフィルムゴールドはそれまでの劇場版シリーズから大きく変化しつつあった作品でした。
そして、最新作であるスタンピードはより劇的な変化を遂げました。
……思ったよりボリュームが増えたので、さらに続く。
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