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【今週の少年ジャンプ番外編】歌に注力した『ONE PIECE FILM RED』と、歌を排除した『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』



8月6日の公開から19日までに動員570万人、興行収入80億円を突破したことが明らかになった『ONE PIECE FILM RED』。劇場版ワンピースとして歴代最高となったほか、この興行収入ペースは4月の公開から7月末で92億円を突破した『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』や、最終興収137.5億円を記録した『劇場版 呪術廻戦 0』を上回るようで、大台である興行収入100億円突破は確実の模様。世界中で話題の『トップガン マーヴェリック』の国内興行収入超えですら射程に入るそうです。

「フィルムレッド」の劇場版ワンピースとしての"異質さ"について述べた前回の記事ではあえて触れませんでしたが、この大ヒットには間違いなくウタのボーカルパートを担当したAdoさんが一役買ったと言えます。全面的なコラボレーションにより全挿入歌がAdoさんによって歌われたほか、主題歌となった「新時代」はCMでも繰り返し使用され、男女、玄人素人問わず人気のAdoさんの歌声によって、絶大な宣伝効果を生む形となりました。

公開当初から一部で「Ado押しが嫌」「AdoのPV化している」的な話が出ているそうですが、そこそこ古参のワンピースファンである自分自身は、そういった面を感じつつも、総合的にはワンピース作品としての異質さや本編との関連性と合わせ、斬新で見る価値のある作品に仕上ったと評価しています。

 

さてそんな『ONE PIECE FILM RED』とAdoさんの大躍進を聞いて、今回の記事であえて比較したいのが、同じ少年ジャンプの先輩であり、今年6月に公開されたドラゴンボール最新作『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』です。

全然ブログ内で触れてませんが、実は自分『ドラゴンボール』もけっこう好きで、電子版でサイヤ人編以降の原作を購読しているほか、TVアニメ『ドラゴンボール改』、『ドラゴンボール超』、劇場版『ドラゴンボールZ 神と神』、『ドラゴンボールZ 復活の「F」』、『ドラゴンボール超 ブロリー』のいずれも目を通しています。

 

もちろん最新作「スーパーヒーロー」についても映画館まで足を運びました。CG作画でより迫力ある戦闘シーンを実現するなど、見どころも十分でなかなかの出来栄えだったと個人的には思いました。実際Yahoo!映画で星4.3、映画.comで星3.9、Filmarksで星4.0と、いずれも2013年以降の新劇場版シリーズでは最高の評価となっています。

にもかかわらず、興行収入に関しては最新の数値がおよそ24億円前後で止まっており、こちらは逆に現時点で新劇場版シリーズ最低。前作『ドラゴンボール超 ブロリー』(2018年)が40億円だったことを考えるとやや寂しい数値となっています。

 

サイバー攻撃で公開日が当初のGW前から祝日ゼロの6月に変更になるなど、原因は色々あるとは思いますが、その1つが「フィルムレッド」とはまったく逆のスタンスとなった「歌の排除」だと個人的に考えています。そう、なんと「スーパーヒーロー」には挿入歌どころか主題歌すらなかったのです……。

過去の新劇場版3作では、「CHA-LA HEAD-CHA-LA」(FLOW)、「『Z』の誓い 」(ももいろクローバーZ)、「Blizzard」(三浦大知)と立派な主題歌に加えて、挿入歌も用意されていたのに「スーパーヒーロー」はBGMのみ。鑑賞前や直後はとくに気にしていなかったのですが、その後のTVCMを見たときに「あれ?」と違和感があり改めて気づきました。

主題歌・挿入歌を採用しなかった理由は定かではありませんが、ハッキリ言えばこれは明らかな失策でした。『ONE PIECE FILM RED』のAdoさんの起用および歌を中心にした物語は、映画としての評価はやや賛否が分かれていますが、話題性という点では大成功だったことは絶好調な興行収入やアルバム・楽曲の売り上げが証明しています。主題歌である「新時代」が流れるだけで、Adoさんとともに「フィルムレッド」が思い浮かぶのとは対象的に、主題歌のない「スーパーヒーロー」はそうした現象とはほぼ無縁でした。

 

前作『ドラゴンボール超 ブロリー』では、三浦大知さんの「Bizzard」が主題歌として好調な売れ行きを記録し、”アニソン”として宣伝効果を十分に発揮。その後も音楽番組などでご本人の代表曲として歌われました。また『ドラゴンボールZ 復活の「F」』は主題歌以上に挿入歌(バトルソング)であるマキシマムザホルモンの「F」が、そもそもシナリオのきっかけになるなど注目されました。

TVアニメについては語るまでもなく、劇場版においてこうした「歌の力」による相乗効果の前例があるにも関わらず、「スーパーヒーロー」で歌を排除する決断に至ったのは、冷静に考えると非常に残念なことだったと思います。

 

かと言って「フィルムレッド」のように音楽を全面に出すのは物語上無理がありますが、少なくも「ブロリー」や「復活のF」ぐらいの注力はするべきでした。次回作では是非ともこの反省を生かして歌に注力してくれると幸いです。

アニメ「ドラゴンボール」が再始動して来年で10年。生々しいことを言えば、声優陣の年齢的にまたそろそろ一つの区切りをつける時期だと予感しているので、次回作=最終章になるかもしれません。出来ればそこで数字的な記録も残してほしいので、物語や設定、歌や宣伝などあらゆる面で最善を尽くしてくれることを祈ります。

 

▼過去のワンピース記事はこちら▼

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