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【知られざる美少女化のパイオニア】
前回までは「恋姫無双」が「三国志の武将の美少女化」というコンセプトで10年以上前にアニメ・マンガ界に大きなインパクトを残したことをお話しました。
しかし、今現在一般的となった「歴史上の人物の美少女化」設定につなげるにはもう一つのムーブメントを語る必要があります。
「戦国美少女ブーム」です。
2008年のアニメ版『恋姫†無双』放送から数年間、圧倒的なアンソロジーコミックの拡散もあって「三国志の美少女化」は「恋姫無双」の独壇場でした。
しかし、クリエイターたちは「武将の美少女化」という妙味なアイデアを使いたい欲求で一杯でした。
その時、おそらく同時多発的に皆が思い浮かんだのがもう一つの“武将の世紀”、日本の「戦国時代」だったというわけです。
織田信長・豊臣秀吉・徳川家康という誰もが知ってる歴史上の偉人から、伊達政宗・真田幸村のようなゲームで馴染みある武将など、三国志と同等かそれ以上にインパクトある人物が揃っている「戦国時代」を扱わない手はありませんでした。
そして、「恋姫無双」のメディアミックスがひと段落した2010年頃から「戦国美少女ブーム」は、どの作品がキッカケというわけでもなく始まりました。
個人的に、比較的早かったと思うのは「戦国コレクション」で、こちらは戦国武将以外の偉人も美少女化したという意味では、今日の「美少女化設定」にとても近い発想で作られていました。
ちなみに後にアニメ版が作られた際は、所々名作映画パロディを取り入れた珍作として一部で有名になりました。
その他、ざっくり思い浮かぶものとしては『百花繚乱 サムライガールズ』『織田信奈の野望』『ノブナガン』『戦国乙女~桃色パラドックス~』などなど。
マンガなどを含めればさらに増えるでしょう。
『戦国BASARA』はさすがにこの流れの一部に組み込むには無理がありますが、間接的な影響はあるかもしれません。
このブーム時はシーズンごとに戦国武将が関係するアニメが放送されていたので、現在の「異世界モノブーム」に似てるところがあるかもしれません。
無論、世界観や舞台設定、キャラクターなどに差はありますが、クリエイター視点だと「キャラクター設定、もしくはイメージ形成の手間が若干省ける」みたいなメリットがあったと思います。
今の異世界モノだと「世界観設定やそのイメージ形成の手間が省ける」みたいなメリットがあると言われてますし。
とにかくこの「戦国美少女ブーム」は「恋姫無双」のような1作品の枠を大きく超えてマンガ・アニメ・ゲーム全般への“美少女化設定”の普及へとつながりました。
ちなみに「恋姫無双」を生み出したBaseonも戦国武将版美少女ゲームを送り出しますが、当然これといった話題にもならない結果となりました。
続く……。
【知られざる美少女化のパイオニア】