前回の記事はこちら ①三国志から始まった美少女化現象
前回、アンソロジーをはじめとした「恋姫無双」のコミカライズによって、多くのクリエイターに「三国志の武将の美少女化」というコンセプトが刷り込まれていったことをお話ししました。
そんな「恋姫無双」ですが、原作ゲームの発売から約1年半後の2008年夏に、TVアニメ版『恋姫†無双』が放送されます。実はこのアニメも立ち位置は他のコミカライズとほぼ同じになります。
というのも、アニメ版『恋姫†無双』はよくある「原作→原作のコミカライズ→アニメ化」というメディアミックスの流れではなく、「原作→オリジナルストーリーによるアニメ化」という形、アニメの原本となるコミックが存在しません。
アンソロジーを除いたストーリー仕立てのコミカライズが始まったのもアニメ放送後かつ、物語上の関係もありません。
この手法は結果的にクリエイターたちがそれぞれの「恋姫無双」の物語を作っていいという認識を与えるとともに、ファンも「原作通りか否か」というよくあるあら探しにに縛られることなく一連の「恋姫無双」作品を楽しむことができました。
ちなみに偶然ですが、前回の連載でたびたび宣伝してた『ストライクウィッチーズ』もまったく同時期に放送されてます。こちらも登場キャラクターが実際のパイロットを元にされているので、美少女化作品の一つといえます。
図らずも2008年夏は2つの「美少女化アニメ」が放送され、その後それぞれ異なるベクトルでアニメ界に影響を与えていくことになったのです。
さて、じゃあ「恋姫無双」誕生からすぐ美少女化が一般的になったのかというとそうではなく、それまでにはもう少し時間がかかります。
この時点では、“美少女化”は「恋姫無双」の印象が独強く、まったく同時期かつミリタリー要素が強かった「ストライクウィッチーズ」以外でそのアイデアを流用するのには、どこかパクり意識が強く、抵抗がありました。
なのでしばらくは「三国志の武将の美少女化」である「恋姫無双」の独壇場が続きます。
そんな当時、私は友人とこんな会話をしました。
私:「三国志の美少女がありなら、戦国時代の美少女化もありだろ」
友人:「いや~、それはないんじゃな~い?」
そのおよそ2~3年後、この言葉は現実となります。
怒涛の「戦国武将の美少女化」ブームが巻き起こりました。
続く……。
【知られざる美少女化のパイオニア】