今期はたまたま同じ“ミリタリーアニメ”ながら、似て非なる作品となりつつある『ストライクウィッチーズ Road to Berlin』と『戦翼のシグルドリーヴァ』が放送中なので、最近のミリタリーアニメの成功する条件について論じていきます。
すでにシリーズ10周年を迎えているストパンと、まだ誕生まもない戦翼を単純比較するのは良くないのは重々承知しているので、それを踏まえた上で話を進めていきます。
まずこの2作ですが、どちらも「第二次世界大戦(以下WW2)の戦闘機」を大きな要素として組み込んでいます。
ミリタリーを知らない人にはあまりわからないかも知れませんが、ミリタリーのジャンルのなかでも戦闘機、特にWW2のプロペラ機はもっとも熱心なファン(というかオタク)が多いのです。
なぜならそこには、機種の多さやパイロットの経歴、作戦内容や空戦記録など、研究熱心なオタクが生涯かけても把握しきれないほどの情報や物語が詰まっているからです。
しかし、ガンダムなどのSF作品のようにWW2の実際の作戦や戦い方からインスピレーションを受けたアニメはあっても、直接WW2の兵器を主軸にした作品は戦後一部の少年誌を除いてほとんど生まれてきませんでした。
そんな中、2000年代後半から本格化した深夜アニメブームの中で「美少女×WW2ミリタリー」ジャンルの作品が一人のイラストレーターをキッカケに誕生しました。
それが島田フミカネ氏企画の「ストライクウィッチーズ」シリーズです。
企画当初は、まだWW2ミリタリーというジャンルがはるかにマイナーな分野だったため苦戦しましたが、ようやくテレビアニメ第1作である『ストライクウィッチーズ』が放送されると、アニメオタクが満足するクオリティとミリタリーオタクが納得するこだわりによって、熱心な信者を獲得することに成功しました。
加えてメディアミックスが得意なKADOGAWAが権利元だったこともあり、大々的なプロモーションも行われた結果知名度も上がり、人気作の仲間入りを果たすことになりました。
それまでほとんど存在しなかった「美少女×WW2ミリタリー」というジャンルが、作品として成功の可能性があることを示した「ストライクウィッチーズ」は、その後の『艦隊これくしょん -艦これ-』『ガールズ&パンツァー』の誕生に少なからず影響しました。
つまり、「ストライクウィッチーズ」の成功には、美少女アニメとして満足できるキャラデザインやシーンに加えて、ミリタリーオタクが納得できる物語や設定、各種描写が両立できたこと、加えてそれを単なる個人作ではなく一つのプロジェクトとしてプロモートできたことが大きいのです。
この「クオリティ・こだわり・プロモーション」の3つのポイントはその後のミリタリーアニメが成功する最低限の条件なっていきます。
続く……。
【ミリタリーアニメが成功できる条件とは】
⑥ミリタリーアニメが「ストライクウィッチーズ」で始まり「ガルパン」で終わるかはこれから次第