TAMAHACHI08 -official blog-(※旧・大西洋少年ジャンプ総合研究所)

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【持論アニメコラム】ミリタリーアニメが成功できる条件とは ⑤「ガルパン」、「艦これ」後のミリタリーアニメの戦い

これまでの記事はこちら

①ストライクウィッチーズが起こした変化

②苦戦する“美少女×ガンアクション”

③まさかの王道で成功に至った『ガールズ&パンツァー』

④戦艦12隻を常識にした「艦これ」と『蒼き鋼のアルペジオ』

後編 納沙幸子もピンチ!?

後編 納沙幸子もピンチ!?

  • メディア: Prime Video
 

 

前回、前々回とミリタリーアニメの大きな転換期を生んだ『ガールズ&パンツァー』と「艦これ」について触れました。

 

今週はこの2作がブームとなって以降、個人的に注目に値するミリタリーアニメを独断と偏見込みでピックアップします。

 

ハイスクール・フリート

Wikipedia抜粋~

日本列島の大半が海中に沈んだパラレルワールドを舞台とし、海上の保安と防衛を担う職業であるブルーマーメイドになることを目指してその養成学校に入学し、教育艦「晴風(はれかぜ)」に乗艦した女子生徒たちのさまざまな活躍を描く。

~抜粋終了~

 

ざっくり言えば“艦艇版ガルパン”。スタッフにもガルパン関係者が散見される点やCGフル活用の戦闘描写、地元押し(※横須賀)などガルパンの影響を強く受けた作品です。

 

ガルパンと異なる点は、物語にちょっぴりSF要素が取り入れられ、戦闘がいちおうガチであること。

 

基本的に擬人化が主体だった『蒼き鋼のアルペジオ』やアニメ版『艦これ』に比べて、艦艇の戦闘描写にこだわっているので、軍事オタクも満足行くクオリティのミリタリーアニメです。

 

省力化されてますが、実際の軍艦の役割分担に沿ったキャラクターたちの設定や、やり取りも注目ポイントです。

 

OVAに続き劇場版も今年公開されているので、ガルパン程ではないが、確かな人気を得ています。

 

『荒野のコトブキ飛行隊』

Wikipedia抜粋~

荒野の続く世界イジツで、人々は限りある地下資源と、空路による交易で生活している。この物語は空路による物資輸送を生業とするオウニ商会と、物資を狙う空賊から飛行船を守る女の子だけの凄腕パイロットだけで組織された用心棒集団「コトブキ飛行隊」の活動を描いた物語

~抜粋終了~

 

日本軍レシプロ航空機ミリタリーというマニアックの極地に挑んだ意欲作。舞台設定も近現代日本でなく、アメリカ西部劇をイメージした異世界というレアシチュエーション。

 

ダイナミックなレシプロ機の動きと挙動を思う存分描くため、メインキャラクターがほぼCGが描かれるというこだわり。

 

もはや軍事オタクしか見るなと割り切った、ガルパンとは別ベクトルでミリタリーアニメの頂点に立つ作品です。

 

コアなファンには人気があると言えますが、今後の展開があるのかは未知数。

 

『戦翼のシグルドリーヴァ』

Wikipedia抜粋~

現代日本を舞台に、地球上に現れたあらゆる生命の敵性存在「ピラー」と、第二次世界大戦前後の実在する世界各国の航空機を模した「英霊機」に乗って戦う「戦乙女」の姿を描く空戦ファンタジー

~抜粋終了~

 

ぶっちゃけ個人的に途中で視聴するのを止めたこちらの作品ですが、実はこれまでのミリタリーアニメとは異なる仕上がりとなっているためあえて紹介します。

 

それは“戦死”を描いている点です。

 

これまでこの連載で紹介してきたミリタリーアニメですが、実はキャラクターあるいはその関係者が戦死シーンはまったく描かれていないのです。

 

そもそも美少女アニメで死亡シーンがあること自体レアなのて当たり前ではありますが、シグルリはそのタブーを破り、物語としてはよりリアルな戦記モノを目指したのかもしれません。

 

ストライクウィッチーズガルパンで固定化しつつあるミリタリーアニメの設定に一石を投じたという意味では、シグルリは評価できます。

 

ただし、北欧神話という馴染みの薄い設定に、意味不明なギャグシーンあったり、なによりミリタリー描写が陳腐なので全体的な仕上がりはかなりイマイチでした。

 

これまでのミリタリーアニメの特徴であった「真新しさ」がガルパンのヒットや艦これのブームによって「お馴染み」になった結果ミリタリーアニメの価値が相対的に下がり、それを取り戻そうとした結果が、よりマニアックを目指した『荒野のコトブキ飛行隊』やタブーに挑んだ『戦翼のシグルドリーヴァ』と言えるでしょう。

 

次回はそろそろこの連載のまとめに入りたいと思います。

 

続く……。

 

【ミリタリーアニメが成功できる条件とは】

①ストライクウィッチーズが起こした変化

②苦戦する“美少女×ガンアクション”

③まさかの王道で成功に至った『ガールズ&パンツァー』

④戦艦12隻を常識にした「艦これ」と『蒼き鋼のアルペジオ』

⑤「ガルパン」、「艦これ」後のミリタリーアニメの戦い

⑥ミリタリーアニメが「ストライクウィッチーズ」で始まり「ガルパン」で終わるかはこれから次第

 

【今週の少年ジャンプ】波乱どころか動乱の2020年ジャンプも今週号がラスト

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ぼくたちは勉強ができない』完結お疲れ様でした。

正統派ラブコメニセコイ』の後を継いでおよそ四年弱、楽しませて頂きました。

 

ヒロイン全員のエンディングを描くという掟破りな手法は驚きましたが、多くのファンにとって満足いく形だったと思います。

 

さて、こうしてまた人気連載の一つが終了して2020年ジャンプも幕を閉じるわけですが、そのプレイバックはまた年内中に番外編でやりたいと思います。

 

とりあえずは宇佐崎しろ先生の新作が載ったのでご紹介。

~~~~~ 読切評価 ~~~~~

『炎眼のサイクロプス』(原作:石川理武 作画:宇佐崎しろ)

評価……○

 

まさかのちょっぴり異能法廷ドラマ。

しかし、出来映えがすごい。

宇佐崎先生の作画にしっかりマッチした物語、いや物語にマッチした作画に仕上げた宇佐崎先生の実力はやはり一流だと改めて再認識しました。

 

派手なアクションより、引きつけられるタッチがやはり印象的でした。

 

文句の付け所がないです。このまま新連載も全然有り。

~~~~~~~~~~~~~~~~

 

そして、こち亀もひさしぶりに帰還。

どっしりとした安定感かあります。

ロボット警察官のネタは古参ファンには堪らないですね。

 

紙面外では、銀魂の来場特典「鬼滅の刃」カードや『ワールドトリガー』の三期決定、『呪術廻戦』ブームなど、年末までもう少しジャンプの話題が続きそうですね。

【持論アニメコラム】ミリタリーアニメが成功できる条件とは ④戦艦12隻を常識にした「艦これ」と『蒼き鋼のアルペジオ』

これまでの記事はこちら

①ストライクウィッチーズが起こした変化

②苦戦する“美少女×ガンアクション”

③まさかの王道で成功に至った『ガールズ&パンツァー』

第1話「航路を持つ者」

第1話「航路を持つ者」

  • メディア: Prime Video
 

開拓者としての『ストライクウィッチーズ』、混迷期のガンアクションアニメ、頂点としての『ガールズ&パンツァー』に続いて、今回はアニメとはちょっと離れますが、アニメ界に無視できない影響を与えた「艦隊これくしょん -艦これ-」と同時期にアニメが放送された『蒼き鋼のアルペジオ』を取り上げます。

 

2012年末から翌2013年春にかけて盛り上がりを見せた『ガールズ&パンツァー』ですが、その後も聖地巡礼などで人気が継続的に拡大していき、2014年夏のOVA、2015秋の劇場版へとつながっていきます。

 

そんなガルパンの盛り上がりとまるで連動するかのように、ネットやSNSではとあるゲームが話題となっていきました。

PCブラウザゲーム艦隊これくしょん -艦これ-」です。

 

偶然にもガルパンの最終回が放送された2013年春にサービスを開始した「艦これ」は口コミを通じて大きく注目を集め、2013年の終わり頃には120万以上のユーザーが登録していました。

 

「艦これ」をざっくり説明すると、太平洋戦争時の日本海軍の軍艦が美少女キャラになったいわゆる”擬人化“育成シミュレーションゲームです。

 

当時はまだ“擬人化”が成長中のジャンルだったことに加えて、セリフやキャラデザインに込められたこだわりの深さに軍事マニアが飛びつき、それがライトなオタク層にも広がりました。

 

ライト層にも広がった理由はおそらく当時の「艦これ」にほとんど設定らしい設定がなかったからです。

 

艦これにはおそらく今でも、明確な物語や世界観設定、敵の内情などで正式なものはほぼありません。

 

なのでユーザーの多くはゲームの進行以上に各キャラクターのデザインやセリフの元ネタを調べることを心血を注ぐことになりました。

 

この熱中具合は多くのアニメファンに伝播し、いつの間にか旧海軍の戦艦や空母、巡洋艦の名前が常識となっていきました。

 

そんな「艦これ」ファンが急拡大する中、偶然にも2013年秋に放送が始まったのが『蒼き鋼のアルペジオ』でした。

 

こちらも日本海軍の軍艦が美少女キャラになった”擬人化“作品でしたが、それが艦これブーム真っ只中のタイミングで放送できたことは本当に奇跡的だったと断言できます。

 

『蒼き鋼のアルペジオ』に関してはガルパンや艦これと違い、ミリタリーアニメ特有の細かい世界観設定や物語がしっかりとあるので、決してシンプルとはいえません。

 

しかし、艦これ人口が急拡大中だったため、ほぼ同ジャンルのアルペジオに多くのファンが食いつき、登場キャラの元ネタ、つまり軍艦の知識を把握していたので『蒼き鋼のアルペジオ』を多いに楽しめることができたのです。

 

もし一年早く放送されていたら、『蒼き鋼のアルペジオ』の反響は全く違ったものになったでしょう。

 

ちなみに艦これと初めてコラボした作品も『蒼き鋼のアルペジオ』で、伊401が実装されたのもそのタイミングでした。

 

「クオリティ・こだわり・プロモーション」の3つのポイントのうち、プロモーションが相互扶助する形で強化された「艦これ」と『蒼き鋼のアルペジオ』は当時本格化しつつあった“擬人化”という「真新しさ」によって大きく注目され、ジャンルを超えてミリタリープラモの救世主にもなります。

 

戦車と軍艦がテーマのガルパンと艦これが同時多発的にブームとなった2013年はミリタリーアニメにとって大きな転換期となりました。

 

次回はそんなガルパン・艦これ後のミリタリーアニメについて触れます。

 

続く……。

 

【ミリタリーアニメが成功できる条件とは】

①ストライクウィッチーズが起こした変化

②苦戦する“美少女×ガンアクション”

③まさかの王道で成功に至った『ガールズ&パンツァー』

④戦艦12隻を常識にした「艦これ」と『蒼き鋼のアルペジオ』

⑤「ガルパン」、「艦これ」後のミリタリーアニメの戦い

⑥ミリタリーアニメが「ストライクウィッチーズ」で始まり「ガルパン」で終わるかはこれから次第

 

【今週の少年ジャンプ】嵐のごとくジャンプを血まみれにして去った『チェンソーマン』

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はい、『チェンソーマン』が最終回でした。お疲れ様です。

いや~ほんとにこの作品は怒涛と衝撃の連続でしたね。あまりのインパクトにジャンプの若手作品は全部ダーク系に感じでしまうほどでしたよ。

 

ちなみに昔のブログで書いてたチェンソーマンの個人的評価は以下の通り

~~~~~

とりあえず率直な感想は「引き込まれる。」

決して“キレイ”な絵ではないのですが、雑ではなく案外見やすい。
なにより物語が中々クセが強い。

 

~~以下新連載予想より~~

作画がかなり荒めですが、
展開や物語はクセがあって面白いと思います。

キャラクターも魅力を感じますので、
作画がブラッシュアップされれば
化ける可能性あり。

~~~~~

 

良かった。『鬼滅の刃』を見る目はなかったけど、『チェンソーマン』を見る目はまだあった。ちなみに同期の新連載はイマイチの評価で、実際あっという間に打ち切られてます。

 

しかし、最終回とは言っても第二部がジャンプ+で連載決定。更なる血肉湧き踊る物語が期待できそうですね。

 

さらにアニメ化も決定。

鬼滅も呪術もタイムリーで見てませんが、こればっかりは絶対見ます。

 

しかし、これで2019年連載も『夜桜さんちの大作戦』だけになるとは……。

ちなみに来週は『ぼくたちは勉強ができない』が最終回っぽいのでとなると2017、2018、2019連載が一作ずつで2020連載は13作というアンバランスな状態になります。

 

……もはやジャンプは2年後の未来も予測できない。

【持論アニメコラム】ミリタリーアニメが成功できる条件とは ③まさかの王道で成功に至った『ガールズ&パンツァー』

 これまでの記事はこちら

①ストライクウィッチーズが起こした変化

②苦戦する“美少女×ガンアクション”

第1回でアニメ界にミリタリーアニメの可能性を認知させた『ストライクウィッチーズ』を取り上げ、第2回はその後の成功例とはならなかった“美少女×ガンアクション”について書きました。

 

そして今回は、いよいよ現時点でミリタリーアニメの最高傑作となっている『ガールズ&パンツァー』についてお話します。

 

"美少女戦士×ガンアクション"のアニメがこれといって成功しない一方、WW2ミリタリーアニメの先例となった『ストライクウィッチーズ』は熱心なファンに支えられてアニメ第2期から劇場版へと続いていき、関連本も多数発刊されました。

 

同時にストライクウィッチーズから影響を受けたと思われるミリタリー系作品がいくつか散見されましたが、いずれもあまり話題にならないままでした。

 

そんな中2012年後半、とあるビジュアルとともに新たなミリタリーアニメの放送が発表されました。


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▲こちらがたまたま見つかった、その当時のビジュアルをトリミングしたものです。

 

自分が初めてこのメインビジュアルが載ったホームページを見た時の印象は「また軍事マニアしか見ないアニメが始まるな……」という感じでした。


というのもストライクウィッチーズは例外として、ミリタリーアニメは「アニメオタクの中の軍事マニア」という限られたターゲットにしか受け入れられないジャンルというのが、自分を含む多くのアニメファンやクリエイターの認識だったからです。

 

「空母を背景に、戦車の上でハシャでいる女子高生のアニメなんて自分みたいな軍事マニアしか興味ないよ」

 

個人的にそう思ってましたが、ご存知の通りガルパンはそんな第一印象をぶち抜いて大ヒットに至ります。

 

なぜ大ヒットしたか、その理由を説明するとそれだけで記事が3本ぐらいになりそうなので、自分が考える最も重要なポイントを1つだけ指摘したいと思います。

 

それは「ストーリーの基本が"スポ根"」だったことです。

 

ガルパンは現在制作中の最終章以前は「廃校危機の母校を全国大会で優勝して救う」という非常にオーソドックスな王道ストーリーを基本にしてます。

 

このわかりやすさが、ミリタリーアニメの欠点である“煩雑な設定”を不要にして、軍事マニア以外の一般アニメファンにも受け入れられる大きな要因となりました。

 

例えばストライクウィッチーズの場合、まず敵である“ネウロイ”から、主人公たちが扱う“ストライカーユニット”、所属する“統合戦闘航空団”、国名、戦争の経緯など、楽しく見るには覚える設定がけっこう多いのです。

 

その点、ガルパンは主人公たちの顔と戦車の姿、簡単なルールさえ覚えれば、後はスポーツ観戦と同様にすぐに楽しめる手軽さがあります。

 

ミリタリーという一般的には理解しにくい要素をスポ根というシンプルな王道ストーリーに組み込んだことで、ガルパンは一般アニメファンにもわかりやすい作品となりました。

その上で「クオリティ・こだわり・プロモーション」の3つのポイントが満たされ、迫力ある戦車戦という「真新しさ」が加わった結果、単なるミリタリーアニメの枠を超えた大ヒット作品へと『ガールズ&パンツァー』は変貌しました。

 

そして、次回取り上げる海軍系ミリタリー作品とともにWW2ミリタリーの躍進に大きく貢献することになります。

 

続く……。

 

【ミリタリーアニメが成功できる条件とは】

①ストライクウィッチーズが起こした変化

②苦戦する“美少女×ガンアクション”

③まさかの王道で成功に至った『ガールズ&パンツァー』

④戦艦12隻を常識にした「艦これ」と『蒼き鋼のアルペジオ』

⑤「ガルパン」、「艦これ」後のミリタリーアニメの戦い

⑥ミリタリーアニメが「ストライクウィッチーズ」で始まり「ガルパン」で終わるかはこれから次第

 

【今週の少年ジャンプ】来週はビッグニュースが控えてるのでとっとと新連載予想&道産子ギャルを読んで!

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すでにニュースになっていますが、来週『チェンソーマン』が最終回。

 

諸々コメントしたいですが、だったら最終回にまとめて言ったほうがいいので今週は早めの新連載予想します。

 

~~~~ 新連載予想(2020.12) ~~~~

『BUILD KING』………○

前作『トリコ』と雰囲気がすごい似てるので△か迷いましたが、現連載陣の中ではファンタジージャンルに空きかあるのでとりあえず生き残れると予想。ちょっと主人公たちの魅力が薄いのか気がかりですが。

 

 

『SAKAMOTO DAYS』………○

こちらは逆に直感的に面白いと感じたので自信満々の○です。個性的ながら無口でクセが少ない主人公。決して荒すぎず、見やすいアクションシーンに加えて、今後の画力向上が見込める作画。ジャンルも被ってない。……あえて言うなら夜桜さんちと近いですが。

 

・総括

安定感のあるベテランと新進気鋭の新人による印象の異なる作品が並びました。続々と長期・人気連載が終わる中、満足感のある新連載だと感じました。

~~~ 以上 ~~~

 

あと個人的な話ですが、ジャンプ+から主張読み切り『道産子ギャルはなまらめんこい』に是非とも注目してください。

恋愛よりのラブコメとしてはかなり完成度が高い上に、ヒロインがゲキカワなんで。

 

……そろそろ『ぼくたちは勉強ができない』も連載終了が近いので、次期正統派ラブコメも発掘したほうがいい気がします。

【持論アニメコラム】ミリタリーアニメが成功できる条件とは ②苦戦する“美少女×ガンアクション”

 前回の記事はこちら ①ストライクウィッチーズが起こした変化

第7話 あかり争奪戦

第7話 あかり争奪戦

  • メディア: Prime Video
 

前回は『ストライクウィッチーズ』がミリタリーアニメとしてかなりエポックメイキングだったことをお話しました。しかし、そこからミリタリーアニメが定番化したかというとそんなことはなく、むしろ苦戦する状態が続きます。

 

今回はガルパン前に少し盛り上がりを見せた“美少女×ガンアクション”アニメについてお話します。

 

ストライクウィッチーズ』の成功によって注目されたミリタリーアニメですが、まだ本格的にアニメ界で使用されるほどのテーマにはなりませんでした。

 

というのも『ストライクウィッチーズ』は“WW2ミリタリー”以外にも「パンツじゃないから恥ずかしくないもん!」のフレーズで知られるいわゆる“パンチラ”要素を含めた美少女アニメとしてのインパクトも強かったため「例外的に当たった」感じがありました。

 

そのため、もう少し美少女アニメ色を弱めつつ、ミリタリー要素を取り入れやすいテーマを求めた結果注目されたのが、ハンドガンやライフルを扱ういわゆる“ガンアクション”作品でした。

 

ストライクウィッチーズ』も銃火器を使用していますが、本来航空機に搭載するものを使っての空中戦なのでジャンルが違います。

 

“美少女×ガンアクション”の代表的な作品とあげられるのが記事冒頭にも貼ってあります、武装探偵が活躍する『緋弾のアリア』やライフルを擬人化した『うぽって!!』です。

 

 

 

「美少女キャラを出しつつ、迫力あるガンアクションも描けて、ガンマニアの需要も見込める」ということで、それなりにヒットすることが期待されました。

 

しかし正直な印象として、結果は“泣かず飛ばず”でした。

 

まず先に断っておきますが、緋弾のアリアやうぽっての出来映えが悪かったとは個人的に思っていません。

キャラデザやガンアクションシーンなどは十分な完成度でした。

 

しかし1つ大きな落とし穴だったのは、“ガンアクション”や“銃へこだわる”ということはアニメ、ひいては映像作品としては普通すぎたのです。

 

迫力あるガンアクションやリアルな銃の描写は、ミリタリーアニメでないアニメでも当然のように行われています。さらに言えばそもそも映画やドラマで本格的かつ本物を見ることもできます。

 

つまり、ラノベやマンガ段階では大きな魅力であったリアルなミリタリー描写がアニメという映像ではごく普通のことになってしまったのです。

 

前回の記事で指摘したミリタリーアニメに求められる「クオリティ・こだわり・プロモーション」の3つのポイントを満たしながら、映像作品としての「真新しさ」が欠けていたため、”ガンアクションミリタリー”は成功を収めることができませんでした。

 

続く……。

 

 

(※以下余談)

“美少女×ガンアクション”としては先駆者である『GUNSLINGER GIRL』やガンアクションの派生ジャンルであるサバイバルゲームをテーマにした『特例措置団体ステラ女学院高等科C3部』はいずれもアニメ作品が問題作として一部で有名になったのはただの偶然。

  

【ミリタリーアニメが成功できる条件とは】

①ストライクウィッチーズが起こした変化

②苦戦する“美少女×ガンアクション”

③まさかの王道で成功に至った『ガールズ&パンツァー』

④戦艦12隻を常識にした「艦これ」と『蒼き鋼のアルペジオ』

⑤「ガルパン」、「艦これ」後のミリタリーアニメの戦い

⑥ミリタリーアニメが「ストライクウィッチーズ」で始まり「ガルパン」で終わるかはこれから次第

 

【今週の少年ジャンプ】密かに確かな人気を集める『夜桜さんちの大作戦』に改めて注目して!

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巻頭カラーはアニメが絶賛放送中、早くも『鬼滅の刃』の後釜として期待されまくりの『呪術廻戦』。

 

そういえば、『鬼滅の刃』最終回が載った次の号がちょうど2周年記念でしたね。

 

https://tamahachi08.hatenablog.jp/entry/2020/05/25/191231

 

今思えば、どうせ鬼滅の最終回で巻頭カラー載せないなら呪術廻戦の2周年と同じタイミングにすればよかったのに。

 

そうすれば、恐ろしいほどの宣伝効果があったのに……。

実際はその宣伝効果をドブに捨てた結果になりましたね。

 

失言失礼します。

 

さて今週ちょっと注目したいのが『夜桜さんちの大作戦』。

実は『チェンソーマン』と同じ2019年連載開始ながら、波乱だらけの2020年を生きのびた隠れた注目株なんです。

 

連載開始当初は、地味な印象から長続きしないと予想しましたが、堅実に笑いやアクション、ドラマ性を盛り込んだ結果なのか、波乱だらけの2020年の間に安定した人気を獲得しました。

 

あれですかね?コロナや鬼滅で家族愛とかがフューチャーされた結果、“大家族への婿入り”という設定が刺さったみたいな。

 

そして、何気に調べたらこれも連載2作目の作品だった。

連載デビューは『ポロの留学記』?

……全然記憶にない。

【持論アニメコラム】ミリタリーアニメが成功できる条件とは ①ストライクウィッチーズが起こした変化

 

魔法少女

魔法少女

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

今期はたまたま同じ“ミリタリーアニメ”ながら、似て非なる作品となりつつある『ストライクウィッチーズ Road to Berlin』と『戦翼のシグルドリーヴァ』が放送中なので、最近のミリタリーアニメの成功する条件について論じていきます。

 

すでにシリーズ10周年を迎えているストパンと、まだ誕生まもない戦翼を単純比較するのは良くないのは重々承知しているので、それを踏まえた上で話を進めていきます。

 

まずこの2作ですが、どちらも「第二次世界大戦(以下WW2)の戦闘機」を大きな要素として組み込んでいます。

 

ミリタリーを知らない人にはあまりわからないかも知れませんが、ミリタリーのジャンルのなかでも戦闘機、特にWW2のプロペラ機はもっとも熱心なファン(というかオタク)が多いのです。

 

なぜならそこには、機種の多さやパイロットの経歴、作戦内容や空戦記録など、研究熱心なオタクが生涯かけても把握しきれないほどの情報や物語が詰まっているからです。

 

しかし、ガンダムなどのSF作品のようにWW2の実際の作戦や戦い方からインスピレーションを受けたアニメはあっても、直接WW2の兵器を主軸にした作品は戦後一部の少年誌を除いてほとんど生まれてきませんでした。

 

そんな中、2000年代後半から本格化した深夜アニメブームの中で「美少女×WW2ミリタリー」ジャンルの作品が一人のイラストレーターをキッカケに誕生しました。

 

それが島田フミカネ氏企画の「ストライクウィッチーズ」シリーズです。

 

企画当初は、まだWW2ミリタリーというジャンルがはるかにマイナーな分野だったため苦戦しましたが、ようやくテレビアニメ第1作である『ストライクウィッチーズ』が放送されると、アニメオタクが満足するクオリティとミリタリーオタクが納得するこだわりによって、熱心な信者を獲得することに成功しました。

加えてメディアミックスが得意なKADOGAWAが権利元だったこともあり、大々的なプロモーションも行われた結果知名度も上がり、人気作の仲間入りを果たすことになりました。

 

それまでほとんど存在しなかった「美少女×WW2ミリタリー」というジャンルが、作品として成功の可能性があることを示した「ストライクウィッチーズ」は、その後の『艦隊これくしょん -艦これ-』『ガールズ&パンツァー』の誕生に少なからず影響しました。

 

つまり、「ストライクウィッチーズ」の成功には、美少女アニメとして満足できるキャラデザインやシーンに加えて、ミリタリーオタクが納得できる物語や設定、各種描写が両立できたこと、加えてそれを単なる個人作ではなく一つのプロジェクトとしてプロモートできたことが大きいのです。

 

この「クオリティ・こだわり・プロモーション」の3つのポイントはその後のミリタリーアニメが成功する最低限の条件なっていきます。

 

続く……。

 

【ミリタリーアニメが成功できる条件とは】

①ストライクウィッチーズが起こした変化

②苦戦する“美少女×ガンアクション”

③まさかの王道で成功に至った『ガールズ&パンツァー』

④戦艦12隻を常識にした「艦これ」と『蒼き鋼のアルペジオ』

⑤「ガルパン」、「艦これ」後のミリタリーアニメの戦い

⑥ミリタリーアニメが「ストライクウィッチーズ」で始まり「ガルパン」で終わるかはこれから次第

 

【今週の少年ジャンプ】土曜発売……そんなことより新連載がメチャオモロい!


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新連載『SAKAMOTO DAYS』(鈴木祐斗)

第1印象は殺し屋日常コメディ(?)みたいな。

 

いや、なんとなくおおよその展開は読めましたが、アクション描写が想像以上にレベルが高く、その一方で見やすい作画なので初心者へのハードルも低そう。

 

表紙、というか予告ページのワンカットの時点で予感してましたが、久々に直感的に面白いと思いました。

『トリコ』『DR.STONE』以来です。

この個人的な直感が衰えてないことを祈ります。

 

なんか、最近勢いのある『呪術廻戦』や『チェンソーマン』のイメージが強くて、ブラックな印象のマンガが流行っているように錯覚しますが、『夜桜さんちの大作戦』とか『アンデッドアンラック』みたいにもう少し笑いのある作品もあるので、今回の新連載2作もよりブラックさを中和してくれるといいですね。

 

あと、こういうできる面白系おっさんキャラっていいですよね。

ボーボボや銀さんみたいに。